DJ FGR - DJチャート (2017/09)

おぉ…気付いたら7,000字に迫る勢いかよ。。。

DJ Spoko熱が冷め止まぬ今月。周辺の人たちに南アフリカのこの音楽をウザいくらいゴリ押ししていますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

DJとは何ぞや?という問いに対して私は最も重要なモノは「新しい音楽を提案してくれる人である」と考えており(’結局のところラジオDJだろうが、クラブDJだろうが、その本質は変わらないと思っており)、そのために日夜レコードを、音源を掘りまくっていると言っても過言ではありません。こんな考え早く捨て去りたいぜ、幾ら金があっても足りねぇよ!と思わなくもないですが、結局オタクなんですよねぇ…そういやNozinjaも使えもしないのに散々悩んでアナログ買ってるんだよな…「今買わないと後悔するかもしれないじゃん?」と自分に言い聞かせて…でも、あれ、結局未開封かもしれません。

ということでオタク感満載、DJ Spoko・バカルディハウスゴリ推しの今月。頑張って書いたので、ざざーとでも読んでくださると嬉しいです。

 

 

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01. KH (aka Four Tet) - Question [Text (UK)]

http://www.technique.co.jp/item/155839,TEXT044.html

Kieran HebdenことFour Tetの名義KH。my favarite artistsの一人。そんな彼による、プロモの時点で世界中で大流行していたと思われるトラックがようやくホワイト版でのリリースです!限定版ということで速攻で売り切れたらしく、国内の入荷もほとんどなさそう。私は泣く泣くイギリスDrift Recordsからお取り寄せ注文。

こちら、先日TTTよりリリースされた「Bullion - Blue Pedro」や、このFour Tetのトラックは、今年を代表するアンセムといっても良いでしょう。タイト&ロウであり、HOUSEともTECHNOとも言いにくい独特のリズム帯。その上にファンキーなサンプリングを延々とループ。少し遅めのBPMが特徴的。Four Tetは少し前から作風は変わってませんが、この感じ、凄く今っぽい。Joeあたりもこんな感じのトラック出してましたね、たしか。

しかし、これ、何枚くらい入荷するんだろうなぁ~、購入・予約した人は挙手希望です。

余談ですが、Drift Records、注文したら自動応答っぽいFacebookのメッセが届きました。お前の家はこの辺だよな?ここに送るけど間違ってないよな?他に何か質問あったら連絡くれよな?という内容。凄いな~、botってこういう使い方があるんだな~と感心しました。

 

02. SPOKO & AGUAYO - Dirty Dancing [Comeme]

http://www.junodownload.com/products/spoko-aguayo-dirty-dancing/3513681-02/

説明不要「Matthew Herbert」、Don't Be AfraidやMacroからリリースする「RRoxymore」、カナダのデジタルダブ古参「Deadbeat」、One Eyed JacksやNaiveからリリースするDeep Houseの「Violet」Remixを収録!南アフリカで「バカルディハウス」を提唱しているDJ Spokoと、Comeme主催Matias Aguayoの共作アルバムのRemix版がリリースです。

そもそもSpokoってどれだけ知名度があるのか分かりませんが、古くは2008年にWARPよりリリースされ注目を浴びた同郷のDJ Mujavaの「Township Funk」

にもパーカッションで参加。その後、Mujavaとのユニット「Fantasma」としては自身のそれよりも自由な作風で1枚のアルバムをリリース。そこを経て2017年初、上述の(テクノ界では奇才と評される)Matias Aguayoと共作アルバムをリリースしています。DJ Mujavaのリリースはいろんな意味で当時業界を騒然とさせていたような気がします笑

RAの記事とか軽く読んだんですが、その自信たっぷりな口調(日本語訳の問題かもしれないけど)は、同じ南アフリカのNozinjaを彷彿とさせます。それもそのはず、なんとこのSpokoはNozinjaの弟子だそうです!!ノリが一緒だもんなぁ…バカルディハウスのオリジネーターは俺だ!という主張の強い感じが笑えます。そして、つい乗っかりたくなります。俺もバカルディハウスって言いたい!的な。(参考:https://jp.residentadvisor.net/podcast-episode.aspx?id=440

えっ、Nozinjaも知らないって?シャンガーンエレクトロを提唱した、シャンガーンエレクトロ界唯一のアーティストだよ!タイコクラブにも来日したよ!つーか、NozinjaもSpokoも2017年にRAのEventが上がっておらず、Nozinjaに至ってはリリースすらないので、消息が少し心配です。殺しても死ななそうな風貌はしていますが…笑

そんな彼の提唱するバカルディハウスは、お酒のあそことは全然関係なく、アフリカンなパーカッションにつんのめるようなUK Garageの要素を感じなくもない4beat、やたらと主張の強いスネア、何を言っているかわからないラップ、ピヨンピヨン弾ける8bit感のあるメロディ、全体的に超ダサくてかっこいいです。シャンガーンエレクトロはベースの代わりにマリンバを使ったこと、そして高速なBPMで著名ですが、しかし、その特殊な音楽性からなかなかフロアに馴染みませんでした。しかし、バカルディハウスはしっかり打ち込んでいて音も出ますし、フロアへの馴染みも良く、DJ的には使い勝手の良い飛び道具になっています。事実、ミニマルセット以外では必ずかけている気がします。

このSpokoさん、Nozinjaのように居なくならずコンスタントにリリースを続けてほしいな、それこそ、Omar Souleymanみたいに。どのリリースも視聴なしで買っても大丈夫な安心のクオリティを提供していってほしいです。めっちゃ応援してます!というわけで激ヤバ鬼マスト!!!

 

03. V.I.C.A.R.I. (Tommy Vicari Jnr.) - Soft Machinations [Counterculture (UK)]

http://www.technique.co.jp/item/153292,CC01.html

やっぱこの人天才。

コンスタントにリリースを続けているも、リリースするどのトラックも一際目を見張るものがあるオレ的注目アーティスト(オレ的2016年のBEST ARTIST)の「Tommy Vicari Jnr.」待望のアルバムは、自身のニューレーベル、Countercultureからの3枚組です。

全体的にV.I.C.A.R.I.節と呼んでも過言ではない彼らしいエッセンスの散りばめられたシカゴハウスの匂いのする跳ねたグルーヴ、一風変わったベース・音色・サンプル配置、そして癖のある音響処理の加わったサウンド、HOUSE・MINIMALマナーに則っていながら新しいものを作り出す、これぞまさにHOUSE界の "守" "破" "離" !!

例えばD1「Others Here With You」は普通のMINIMAL HOUSEなんですが、ベースラインが少しずつスライドさせて音色を変えていてちょっと気持ち悪く、おやおや?と思います。E2「Slipthru」のボイスサンプルをループさせたオールドスクールなディープハウスも、良い感じのエモい展開なのに途中に何やら変なベースラインが入ってきてドキッとします。E1「Yovereve Pt 1」のデトロイティッシュとも思しきシンセ使いが映えるテックハウスも、上物はデトロイティッシュなのにグルーヴはMINIMALで、これはこれでトバされる!

そんなセンスの塊、Tommy Vicari Jnr. は、RAを見てもDJ/LIVE活動はほとんどないみたい、、、氏のFBファンページとかもちょっと変人感があふれますし、なんか人間嫌いの仙人なんじゃないか?とか妄想膨らんでしまいます。それを払拭するためにも誰か日本呼んでください!!

 

04. Deetroit - Deetroitrax [Unknown Deetroit (US)]

http://www.technique.co.jp/item/149716,UDR777LP.html

謎のデトロイト系アーティスト Deetroit がなんとアルバムを出しちゃいました。
先日のDetroit Swindle @ VENTでプレイした際に、この曲なんだ?と片割れに聞かれ、紆余曲折ありましたがミドリくんに通訳してもらったのがD1で、Loneのトラックのメロディをそのまま使ってます。他にもB1は808statesのPacific2のリメイク。こういうネタ系には疎いのでわかりませんが、他にも元ネタのありそうな、どこかで聞いたことあるトラックばかりで、超イリーガル!

ただ、いずれもトラックとしてのクオリティも間違いありません。デトロイト・シカゴハウスの流れを汲んだ、今でいうロウハウスと言ってもよい、ディープハウス集。オールドスクールなリズム帯は、さながら90年代初期のソレとも遜色ない作りでカンペキ!

 

05. Complete Walkthru - My Friend Right Here EP [First Second Label (Ireland)]

http://www.technique.co.jp/item/154815,FSL004.html

Project Pabloとのユニット「2 Responsible」、MCFERRDOG、Max McFerrenとして「1080p」「Shoot The Lobster」「Allergy Season」等カルトなレーベル中心に活躍するComplete Walkthruのニュー。当名義としてはカセットとデータでそれぞれアルバムを製作しておりましたが、初?のEPリリースです。

全編ちょいとブレイクビーツのノリが加わったロウハウスですが、太すぎず細すぎない絶妙なグルーブのリズム帯、派手に鳴りすぎないアシッドベース、添え物的ロウファイなシンセサイザーが絶妙なバランスで絡み合い、混ざりあって最前線で戦えるトラックへと変貌!!特にB1「My Friend Right Here」の、三連符アシッドベースに黒いキック、ピュンピュン飛ばされるシンセがスゴイ。また、B2「Nothing Will Ever Be So Good (Drum Edit)」のタイトル通りのドラム乱打っぷりもスゴイ。どういう発想でこんな曲を作ってるのか不思議になりますが…一つ一つは大したことない音なのに、その混ぜ方が珍妙すぎて、良い按配のキラートラックに仕上がっています。ロウハウス派には超オススメ。

過去作を遡ると、Max McFerrenもだいぶ変なトラックを作ってますね。これは全部そろえにいかなきゃあるめぇ…!

 

06. Castillano & Wenninger - The Future Has Just Begun [Vfmm (GER)]

http://www.technique.co.jp/item/154819,VFMM9.html

Morphious BとPitt Wenningerによるユニット「Castillano & Wenninger」のファーストリリースと思われます。彼ら、ソロでも目立ったリリースは無さそうなので、新鋭といったところか。レーベルはベルリンのVerein Freier Menschen und Musik、略Vfmmの9番目のリリース。7inchあり、カセットあり、リリースしているアーティストも著名な人はBufimanくらいで、結構マニアックなレーベルのようです。

これも素晴らしい…全体的にエモさの塊で出来ているロウハウス集で、Dekmantelあたりが好きな人は要チェックです。遅めのBPMに、ずしんと響くキック、マイナーコードのメロディがキラキラ煌めきます。B2のエレクトロで〆る辺りも、わかってんな~この人たち!と唸ってしまう完成度の高い "作品集" です。

 

07. V.A. - DRR006 [Dream Raw (Austria)]

http://www.technique.co.jp/item/154827,DRR006.html

Sadeネタ!

CDRやカセット等でリリースを続けてきたオーストリアのDream Raw Recordingsより初のアナログリリースとなるディープハウスコンピ。Paradiso Rhythm、Axefield、Raar、Joakim Hellgrenの4名の気鋭アーティストのトラックを収録。

A1「Paradiso Rhythm - Forever Sade」、タイトルまんまSadeネタは自分ヘビープレイしていますが、潔いまでのストレートなネタハウス。爽快なグルーヴ感が使いやすいです。A2「Axefield - Sleep On My Menu」は遅めのBPMにアシッドベースが美しく乗ってくるしっとりとしたディープハウス。時折鳴っているパーカッションが気持ちいいです。B1「Raar - Tell You」はズシンとひび割れたキックにノイジーなシンセ、抜けの良い展開が朝方にピッタリの、昨今のロウハウスに通ずるトラック。B2「Joakim Hellgren - You Know Dat Feeling」も、少しスローなロウハウス。乱打されるスネアの響きが気持ちよいです。

やっぱA1かなぁ、ネタ物強し!でも、これを書きながら、どれもハイクオリティだし、どっかで使っていきたいな~と思いました。しかし、今回は無名のロウハウスが強いなぁ…

 

08. Lindstrom - Tensions [Smalltown Supersound]

http://www.technique.co.jp/item/155545,STS31812.html

Lindstrom久々の新曲!相変わらず途轍もないソングライティング能力ですね…音の重ね方が綿密すぎて唸ってしまいます…ノルウェーの星、Smalltown Supersoundより!Remixは一度自分のイベントにもLIVEで出演してもらったこともあるWill Long!メロディアスでテンションダダ漏れのOriginalを、Will Long節満載の、浮遊感ただようマッタリぬるま湯ディープハウスに仕上げています。

これ、素晴らしすぎて何を書いても陳腐に見えてしまう気がするので、メロディラインの音の粒々ひとつひとつを、そしてその重なりが産み出すハーモニーを、とりあえず聞いてください!!

 

09. Daphni - Hey Drum / The Truth [Jiaolong]

http://www.technique.co.jp/item/155544,JIAOLONG21.html

Caribou、古くはManitobaとして著名なDan SmithによるHOUSEプロジェクト、Daphniが、自身の主催するJiaolongよりニューEPをリリース。ちょこちょこデータではリリースしてきていましたが、アナログは結構久しぶりでは?と思って調べたら、8月にリリースがあったばかり!買い逃してる~~~泣

当EPはタイトル通りに行進曲のようなドラムが鳴り、ブレイク明けの地味になりっぷりが半端ないトラック「Hey Drum」に、アナログのみ収録のUK Garageを踏襲した王道ベースハウストラック「The Truth」の2曲を収録。バカルディハウスじゃないけど、Daphniもそろそろ自分の作るトラックにジャンル名つけても良い気がするな。それくらいオリジナリティのあるトラック作ってると思います。

 

10. OR:LA - Kyoto Dance [Deep Sea Frequency (UK)]

http://www.technique.co.jp/item/154840,DSF001.html

アイルランド出身のOrlagh Dooleyによる「OR:LA」。むすっとした表情の可愛いおねーさん。2014~15年あたりからちょこちょことDJを始め、16年からブレイク。ScubaとのB2Bなどもやっていますが、RAチャートを見たりMIX聞いたりしてみると、ベースミュージックを経由した踊れるロウハウスといった感じ。ちょっと変わった、でも、癖の強すぎる曲はあまり使わないので、すっごい踊りやすくて好きなDJさんです。

過去、ScubaのHotflushより1枚のEPをリリースしており、2枚目のリリースがこちらで、その名も「Kyoto Dance」というEP。このリリースがすっごい良いんですが、、、良いんですが、、、タイトルKyotoなのにスチールパンを多用しているの何故!!きっと日本に興味はあるものの、そのエキゾチックなノリを東南アジア方面と混同してしまっているのでしょう…是非とも日本に招集し、スチールパンは日本じゃないから!次は琴で曲作れ!って言ってあげたい。そして「そんなことどうでもいいわ」って言われてみたい。そんなトラックです。いえ、普通にかっこいいですよ?でも、Kyotoなのにスチールパンが気になってしまいます。

そして、もう一曲はいわゆるベースハウス・ビートダウンハウスの潮流を組んだ美しいディープハウストラック、これはまあ、間違いないね。普通にかっこいいです。

 

 

今月は他にもRadio Slaveのアルバム、大注目しているIan BrevinsのNot An Animalsからの新譜、他いろいろと良い感じのリリースが多かったです。はぁ、買いすぎたぁ…

(DJ FGR)