DJ FGR - DJチャート (2016/3)

やってまいりました、春!

自分はエレクトロニカ、特に北欧~アイスランドのモノが好きであり、家に冷房がないので、断然冬の方が好きなんですが(冬は布団があれば生きていけますので)、さすが3月といったところ。DJチャートはちょっと春っぽくなって…いや、通り越して夏を先取りかな?という印象のものが、ちょいちょいと・・・早速紹介します!

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1. Philou Louzolo --- Afrifuturism --- Tink! Music (POL)

http://www.technique.co.jp/item/138137,TINKMSC007V.html

今月ダントツ一位!そして年間チャート入りも間違いなしの一枚。

アムステルダムリスボンに拠点を持つ企業、Tink! (Tomorrow Is Now, Kid!) Musicからリリースされたのは、Fela Kuti, Tony Allen, Larry Levan, Moodymann, Theo Parrish辺りに影響を受けたというオランダのアーティスト「Philou Louzolo」による、思わず笑顔が飛び出るAfro House / Afro Beatで、捨て曲ナシの4曲入り。どれも超絶ゴキゲンな内容です!!

DJをやっているとビート/シンセがどうだ、文脈がどうだ、どんな時に使えそうだ、なーんて少々頭でっかちに音楽を聴きがちですが、(だからこそグダグダ色々書けるものの)、こういうのはホント語るところが何もないというか、いくら聞いても言葉が出きやせず、後に残るのは笑顔のみ!トライバルなビート、アフリカンなボーカル、ゴキゲンなメロ・ホーンが重なって重なって組み合わさったアップリフティングなトラックたち。とにかく聞いてみてください!

あとTink!について色々調べたんだけど、総合商社というか、ちょっとマルチっぽいうさんくさい匂いがするので、詳しい人がいたら教えてください笑

 

2. Noo --- Optimo Music Disco Plate 5 EP --- Optimo Music Disco (UK)

http://www.technique.co.jp/item/138251,OMD05.html

「グリコ!!」のサンプリングが巷で話題で、各所でかかりまくってる3月のアンセム的な一枚。Optimo傘下、Optimo Music Disco Plateの5番で、当レーベル2回目の登場となるNooによるアッパーなニューディスコ。

Nooは、 Mental GrooveやDFAからリリースしている「Christophe 'Daze' Dasen」と、Raum...musikからリリースのある「Sami Liuski」によるユニット。両者とも2000年前半から活動しており、そこそこのベテランですね。

A面「KABUKI」は日本語のよく分からない外人がYou Tubeで拾ってきたグリコのCMの音を、歌舞伎の音に合わせました~みたいなノリ。バックトラックはアッパーなニューディスコとして、随所に挟まるアゲめのシンセ、ベースラインの組み方が最高のクオリティなのに、「グリコ!」が全てを持っていってバカなトラックと化してしまっています・・・日本人が聴くからこそ絶妙にアンマッチな1曲。

B1面「SUPER MARIO」という仰々しい名前ですが、ロボットボイスで「Super Mario~」と流れる以外は普通にいい曲。B2も朝方に聞きたいノンビート。全体的にXTALっいです。

 

3. Marieu --- Fair Exchange EP --- Enlightened Wax (GER)

http://www.technique.co.jp/item/138203,ENW006.html

Christopher RauやDJ Octopusとのスプリット等、コラボ作品のリリースや、Restoration Records、Appointment、Parasselaといったレーベルの共同運営で精力的に活動しているイタリア出身ドイツ在住の「Marieu」ことAlberto Mariniが、自身の主催するレーベル「Enlightened Wax」による新譜をリリース。

いずれのトラックも謎のFunk/Discoを少し低音質でサンプリングし、ループさせている、ロウでジャーマンなディスコテクノトラック。おっさんはA1/A2を聞くと10数年前のLOOPA・・・卓球さんやTASAKAさんを思い出すことでしょう。そして少し大げさですが、今の若い子たちにとっても近年のニューディスコとは一線を画している内容では?と思います。満を持してLOOPAWIRE系の新たな時代の幕開けか?!とでも言っておこう。

 

4. Carrot Green & Selvagem --- Disco Halal Brazil --- Disco Halal (GER)

http://www.technique.co.jp/item/138423,DH004.html

どんな手を使ってでも買いたいレーベルの一つ「Disco Halal」の新譜がついに来た!毎回少数入荷・即売り切れなので、全国のレコ屋を探し回ってます。前作は広島、今作は大阪にて在庫を確保。

前作以前はアラビアーンな内容が中心でしたが、今回はタイトル通り「ブラジル」がテーマ。これまでに比べるとだいぶ地味なサンプリングで、DJ的には使いやすい内容になっています。

エディットものをテッキーなDJツールに昇華したMarvin & GuyのRemixも悪くないんですが、やはり辺境エディット好きとしてはオリジナルが良いですね。南アメリカ系言語で黒く歌い上げるボーカルがいずれのトラックも最高!

 

5. Hideto Omura --- Move It Like You Know --- Robsoul (FRA)

http://www.technique.co.jp/item/135362,ROBSOUL160.html

ようやく来ました、Hideto OmuraによるRobsoulからの待ちに待った新譜です。

絶妙なボイスサンプルのA面2曲に、スウィンギンなビートにブリッとしたベースが絡む踊りやすいB1、MJサンプリングのB2など、どれも良いんですが、やっぱB1が一番踊れる!

いわゆるスウィングハウスなんですが、「ワン・ツー・ワンツースリーフォー ジャン!」のフレーズで区切りをつけた後に入ってくるBleepなベースが、オシャレ感を消し、シカゴマナー感じるアンダーグラウンドなハウスに押し上げています。これは誰でも踊れるでしょ!

 

6. Keita Sano --- Nothing For Nothing --- Most Excellent Unlimited (US)

http://www.technique.co.jp/item/134872,MXU-004.html

近ごろたまーーーに関東ではOPPA-LAで見かけるようになり、また今度Contactの出演も楽しみですが、相変わらず露出の少ない関西は岡山在住の孤高のトラックメーカー「Keita Sano」による新譜。シカゴハウスノリで、ザラついたノイジーなビートの印象が強い氏のトラックですが、ここにきて大きくイメージの異なるトラックをリリースしてきました。

A1のSunsetはXTALをも彷彿とさせる、デトロイティッシュなシンセが徐々にビルドアップしていく明け方チューン。これもちょっと意外なノリですが、今回特筆すべきはA2/B1。

A2「Chango」はトライバル、B1「Nothing For Nothing」はラテン/サンバのサンプリングをド直球に使用したリエディットで、もはやハウスではなく踊れる民族音楽のノリ。A2はハウスDJ的には使いづらいですが、氏の新しい方向性を垣間見るには分かりやすい。そして、何といってもB1の灼熱の太陽の下、アスファルトの照り返しの中、ほぼ全裸で道路を練り歩くぜサンバ・デ・アミーゴ!という暑苦し~~~感じがブチ上がります。

 

7. Diffuse Arc / Arcanoid --- E.P. Constant Pulse --- Caustica Waveform (UK)

http://www.technique.co.jp/item/138135,CAU-W004.html

スペイン・マドリードのDiffuse Arcによるアルバムからのシングルカット。一緒にやってるArcanoidはSemantica等からリリースしている、いわゆるドローンなミニマルの人なんですが、このシングル、完全にハウスです。

使ってる音こそ、そこまで特徴的ではないものの、メルボルン/AndrasFox周辺の香りが漂う、柔らかな「ラウンジでもフロアでも、どちらでもどうぞ」の優しさ溢れるトラックたち。

B2のファンキーなサンプリング(ゲロッパ?!)を少し遠めに聞かせて、シンセでフワッと包み込むアンバランスな感じが素晴らしい。ファンキーさの欠片も残ってません笑。ストレートなディスコエディットにちょっと飽きてきた人はちょっと聞いてみてほしいです。この音響処理は職人技です。

 

8. Titus 12 --- Bury Dem --- ZamZam Sounds (US)

http://www.technique.co.jp/item/138376,ZAMZAM34.html

ZamZam Soundsなる、アメリカ・ポートランドの7inchオンリー・ダブレーベルから、 B面が4つ打ちに相性の良さそうなデジタルなダブ。

ブリストルのアーティストらしいのですが、いわゆる王道のダブとは一味違う音使い、特にDe De Mouseみたいなデジタルなボーカルがハマります。ダブステップ以降こういうのもまた面白いのが出てきたりするのかな?ちょっと面白そうだし追いかけてみようかな~と思います。

 

9. Panthera Krause --- Umami EP --- Uncanny Valley (GER)

http://www.technique.co.jp/item/138323,UV036.html

ボーコミュことBorder Community好きの俺氏大注目のレーベル、ドイツ・ドレスデンのUncanny Valleyから、Lobster ThereminなどからもリリースするPanthera Krauseによる新譜。

いわゆるStudio Barnhus調のポップなテクノのA1。爽やかなフルートの音色が心地いいかと思いきや徐々にリバーブが効いていきアンダーグラウンドに潜っていくA2。延々と聞き続けられそうな練り込まれたビートにサイケ感満載のアシッドベースが混ざり込むドラッギーなB1。静かなリズムにメロウなピアノとシンセが絡まるエレクトロニカのB2。どれもカッコイイです。

 

10. Astronomy Domine --- Elementi --- Kapvt Mvnd (UK)

http://www.technique.co.jp/item/138343,KPT4.html

ついつい、使いどころのないレコードを買ってしまいました...

ロンドンの辺境テクノレーベルKapvt Mvndからの新譜は、Pinkl Floydのアルバムから名前を拝借したと思われる謎のアーティスト「Astronomy Domine」による一枚(イタリア・トリノのテクノ・ニューウェイブバンドと思われる)

片面1曲ずつのシングルですが、とにかくB面Spazio Terraがスゴーーーーーいことになっています。BPM100前後のハウストラックをベースに、ジャングルの中で異端教団が悪魔を召喚しようとしている声がずーっと鳴り響いている、怪しいトラックで、超ホラー。家で一人で聞いてたら呪われそうです。これ、真っ暗なフロアのクラブでかけたいなぁ…数珠とかお祓いする時のシャンシャン鳴るやつとか破魔矢とか持って。

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他にも

 ・Kettelのニューアルバム。

 ・Internatinal FeelからLen Leiseの新譜。

 ・Red AxesがPermanent Vacationからリリースした新譜。

 ・Lena PlatonosのRed Axes尽くしのRemix版。

 ・謎のエディットレーベルTee Mangoによる、URのエディット作。

 ・メルボルンハウスのAndras Foxに次ぐアーティストZanzibar Chanel

 ・Philpotからもリリースする変態ミニマルハウスのARTTU。

 ・Sueno Latinoのニューミックス。

 ・超絶ドラッギーなESP Instituteの新譜。

 ・POINT G.のちょっとブレイクスな2枚組。

 ・プレミアが付くだろうと信じて止まないTommy Vicari Jnrのハウシーな新譜ラッシュ。

 ・独自の感性で作られたトラックがジャンルを超えて謎を呼ぶPhotonzによる意外とハウシーな新譜

などなど…3月も良いリリースばかりの超混戦なチャートでした。紹介したい人ばかりで選ぶのつらかったです。ちゃんちゃん。

 

DJ FGR