DJ FGR - DJチャート (2016/6-7)

月サボってしまったDJチャートですが、7月分とまとめて書きました。

6月は良作揃いも尖ったリリースが少なくチャートが書きづらかったんですが、7月は良いの掘れた~!

 

01. Todd Terje & The Olsens - The Big Cover Up [Olsen (Norway)]

http://www.technique.co.jp/item/139777,OLS013.html

これです!話題のリリース!!

Todd Terje+The Olsensというバンドによるカバーシングルです。
なんといってもYMO "Firecracker" のカバーが入ってるのが日本人としては嬉しい。ヴァンゲリスの "La Fete Sauvage" も「いかにも~!」なふわーっと解放されたくなる内容で、辛 抱 た ま ら ん ! ! ! 

嗚呼・・・これが夏なんですね・・・!!

まだ聞いてない人は早く聞きましょう!買ってない人は買いましょう!そして皆で色んなところで聞きましょうかけましょう~!!

 

02. Nusrat Fateh Ali Khan - Visions Of Allah [Exworks]

http://www.junodownload.com/products/nusrat-fateh-ali-khan-visions-of-allah/3148666-02/

ジャケから音から全方位で最高!(以下がジャケ)

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ヌスラト・ファテー・アリ・ハーン(نصرت فتح علی خان)という1997年に亡くなられたパキスタンのアーティスト。イスラム神秘主義スーフィズムにおける儀礼音楽・宗教歌謡カッワーリーの歌い手。詳細はWikipedia参照。

http://bit.ly/2aDBu2c

スーフィズムは19世紀以降、衰退傾向にあるらしいのですが、このカッワーリーは宗教色の軽減された、もしくは全く無い娯楽性の強い世俗歌謡として現代にも残っているそう。

なるほどね、このアルバム、まったく宗教っぽさは感じません。その辺に詳しくない俺から見て一言で表すと「80'sディスコのノリを取り入れた打ち込みベースのイスラム系音楽」といった内容で、超ノリが良い。これが今になってなぜJunoに登録されることになったのかは定かではありませんが、良い仕事するね~Junoさん!!なお、オリジナルは1999年に、Fela KutiやSly & Robbieなどを擁するExWorks Recordsよりリリースされているみたいです。

内容はというと、Mera Piya Ghar AayaとかSanu Rog Laun Waleyaは往年のワープハウスのノリだし、Ankhiyan Udik Diyanは懐かしさ満載ビッグビートのリズムを使ってるし、全体的に今聞くとダサすぎて笑みがこぼれてしまう内容。いやー、スゴイものを見つけてしまった…ワールドミュージック界は本当に、ちょっと探すだけで変なのが出てくるから面白い。

この曲、おそらくDJ人生が終わるまでバシバシ使ってくと思います!!

 

03. MLiR - Swedish Lo-Life EP [Studio Barnhus (Sweden)]

http://www.technique.co.jp/item/141209,BARN044.html

年末のAIRでの来日も記憶に新しい、Axel Boman、Kornel Kovacs、PetterことPetter Nordkvistの3人で運営される北欧カルトハウスレーベルStudio Barnhus。俺の大好きなレーベルです。

このMlirが披露するのはメチャクチャ爽やかなラテンハウス4曲にバレアリックな1曲。とにかく全曲素晴らしくて、1枚のシングルに収まってるのが勿体ないレベルです。

全体的に音数多く、鳥の鳴き声を使ってみたり、爽やかなエレキギターかき鳴らしてみたり、トバし音で煽ってみたり、Studio Barnhusらしい一風変わった音使いでありながらも、漂う雰囲気は2000年代前半のラテンハウスノリ。懐かしさも同時に襲ってきて、やっぱりコレも、辛抱たまりません。THE SUMMER!!

 

04. Cosime - Hilary [Nous'klaer Audio (Netherlands)]

http://www.technique.co.jp/item/139259,NOUS006.html

や・・・やっと買えた~~!!!

これぞ「エモテック」、Border Communityを彷彿とさせるトラックのリリースで俺的話題のレーベル「Nous'klaer Audio」の4月リリースのトラックがようやく再発。

A1のBorder Communityことボーコミュ感がヤバい。喉元を締め付けるメロディ、瞬間的にポコッと入るパーカッション、ディレイ、リバーブを駆使したシューゲイザー感漂うブレイク。鳥肌たっちゃいますね。そしてこの喉元締め付けるメロディをダビーに処理したA2の(Version)も良い感じ。B面の工事現場ぽいブレイクも素晴らしいんですが、これは、まあ、他でも代替できるしなって感じです。やぱA面、このシングルはA面ですよ!!

「エモテック」、これからも地道に提唱していきます!!

 

05. Cabin Fever - Trax Vol.36 [Cabin Fever (UK)]

http://www.technique.co.jp/item/141805,RKDS036.html

これはいつものCabin Feverとは一味違う!

Radio Slaveの、今や主力名義「Cabin Fever」によるNEWはオールドスクールなハウス調のナイストラック。

A面は、またかよ!とも思いますが「Don't Stop」というタイトルで、ボイスループをベースにしたミニマルハウスですが、ブレイクへの入り方がヤバい。これは盛り上がるぞ~!

B面はヒップハウス!!Radio Slaveならではのビートにラップサンプルがよく合います。どの場面でもかけやすい超絶良作です。

 

06. Taylor Deupree - Untitled [Valence (US)]

http://www.technique.co.jp/item/140657,VAL005.html

Taylor Deupreeといえば音響系トップレーベルと言っても過言ではない「12k」のドンであり、教授こと坂本龍一とのコラボレーションでも有名で、フィールドレコーディングを駆使したサウンドスケープに遠くで鳴り響くオーガニックなサウンドが、とにかく安眠を誘う、俺のiTunesプレイリストでは「寝る時に聴く音楽」に入っている代表アーティストです。そんな彼が、さながらSND/Mark FellやSleeparchiveのような単音で構成されるミニマルテクノを披露したとあっては、驚きも隠せません。

が、実は調べたところによると、過去にはAudio nlあたりのカルトなクリックハウスレーベルからのリリースもあるなど、元々ダンスミュージックとエレクトロニカの、いわゆる "相の子" を作り続けてきた人なんでしょうね。最近は12kでの活動がメインだったようですが。

もう、ホントたまんないよね、この「一から波形を弄りまくって音を作りました!」みたいな音色!全体通しても4種類くらいしか音が鳴ってない気がします。それをエフェクトかける、音の配置をズラすなどの工夫で延々聴かせる、いわゆるスティーブライヒの手法にトバされます。

この解釈の難しいトラックをよくもまあ、リミックスしたよね!というB面も個性があって面白い。RODのRemixは、どこをどう解釈したらこんな多彩になるんだ?!くらいに音数が増えているし、Marco Shuttleは原曲に忠実にザ・王道なミニマルを披露。

ただ、やっぱオリジナルが突き抜けてると、オリジナルだけで十分だな~と思っちゃうんですよね。

 

07. ZIG ZAG - ZIG ZAG 2 [Zig-Zag (US)]

※試聴なし

http://www.technique.co.jp/item/140858,ZZ3035.html

TraxサブレーベルZIG ZAGのリイシュー第2弾。このレーベル2枚しか出てないみたいなのでこれで全曲リイシューされた・・・という事になりました。

1作目はラッパの鳴り響くウワモノで持ってかれるファンキーなシカゴハウス中心でしたが、こちらはMr Fingersを彷彿とさせる往年の美しいシカゴハウスのB面2曲に、女性のボイスサンプルに跳ねるピアノ、8分で刻むブギーなベースラインが気持ちいいジャジーハウスと、キレイめなトラックが中心。全体的にオシャレです。

これが1993年作ね~、23年前ってスゴイな~・・・

 

08. V.A. - Enzino's 07 [Enzino's (ITA)]

http://www.technique.co.jp/item/137547,ENZINO007.html

バイナルオンリー・リエディットレーベルのEnzino's。好調イタリアンハウスの一派のよう。

A1はMartin Gameによるトラックはパーカッシブなアフロハウス。これは使いやすい。

A2はTommy Vicari Jnr.に近い感じ。シカゴ感のあるモダンなハウス。

B1はA面と異なりディスコ調。さすがイタリアというべきか、イタロなベースラインにシンセの乗り方がカッコイイ。

B2はBPM遅め、バレアリックなトラック。

 

09. G.Marcell - @ Noon EP (Ltd Edition 200 With Special Sleeve) [Unlearn (US)]

http://www.technique.co.jp/item/141053,NLRN-004.html

まずパッと聞いて思ったのが「歌下手じゃない…?」

自身のレーベルBearatoneGroove/Bearatonerecordingsを中心に10数年活動を続けるシカゴの中堅、G. MarcellによるニューEP。BearatonerecordingsはHakim Murphyなんかもリリースしている、いわゆるちょっとカルトなシカゴハウスなんだと思います。

テクニークさんは”インパクトのある”と表現してますが…よく聞いたら、男性ボーカルと女性ボーカルが絶妙にかみ合ってないんじゃないかな。わざと?本気?全然意図が読めませんが、こういう変化球は大好き。

A1が変わり種で驚きましたが、淡々としたリズムを刻むA2、Orlando Voornのような風変わりシンセがスペイシーなB1。デトロイティッシュなシンセ、シャカシャカ刻まれるハイハットにジャジーなメロが載ってくるB2など、他のトラックも抜群にカッコイイ。

 

10. Joris Voorn - This Story Until Now [Green (Netherlands)]

http://www.technique.co.jp/item/141248,GR23.html

Joris Voornの自身のレーベルGreenからのニューはとんでもなくエモーショナルなデトロイトテクノ!まるでHiroshi Watanabe!Transmat!いや、どっちかというとBedrockか?

いずれにせよ、かの有名な、SINOからリリースされた「Joris Voorn - Incident」以来、プログレッシブハウス~テクノ界隈でスマッシュヒットになるんじゃないでしょうか。鳥肌モノです!

でもって、B面のInnervisions周辺を想起させる落ち着いたトラックも素晴らしいです。

 

 

(番外)

惜しくもチャートを順番に並べてたら10位圏外になってしまったが、どうしても載せておきたい1枚を特別枠で紹介します。

● Record Breakin' Ensemble - Brazilian Love Affair [Record Breakin (US)]

http://www.junodownload.com/products/record-breakin-ensemble-brazilian-love-affair/3156824-02/

フィラデルフィアのDJ Juniorが主催する気鋭のレーベルRecord Breakinからの新譜…とか書いてみましたが、全然知らないレーベルです。でも、このアルバムはホントにスゴイ!!

詳細はよく分かりませんが、ブラジリアン・ラテンをベースに、そのリズム帯をピックアップして、とにかく太鼓が鳴り響くリズム中心のトラックを集めてます。明るいんだけど、太鼓が鳴りすぎてよく分からないことになってて、サイケデリックな雰囲気すら漂いつつあって。。。タイコ鳴らし過ぎててもはや全部だいたい同じ曲にしか聞こえません!Chari Chariが好きだった人にもピッタリだと思います。

なお、過去作さらっと聞きましたが、100%Silk周辺の人がRemixで参加していたり~とハウス界隈との繋がりもありそう。ただ、全体的にはジャジーなヒップホップを中心としたリリースが多そうなレーベルでした。

JunoのInternationalコーナーの実力を垣間見た1枚で、地元のサンバ祭りでのバックトラックから、クラブミュージックの中での飛び道具まで、柔軟に使いこなしたい内容です。

 

 

なんか「たまらん」ばっかり言ってるな~

 

 

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